川岸にて  鮎川信夫
黒い川波に
ありなしの残照の
ひかりは乱れ

ひたいにかかる空は
去りゆく時の
ひとひらの影をとどめ

行けども行けず
のがれるところなき身の
孤独の骨は
寒風に吹きさらされる

よるべなき川岸の
たましいひとつ――
  静かに走れ すみだ川
  わたしの歌のおわるまで



(今回は、コメントなしです)