[収録詩篇] 輪舞 薔薇の初花きり 街路 揺らぎ 朝焼け 夜 公園 職人 鬼百合 ねずみ 神話 喪失 ミューズ 菫の花あなたに捧げれば 猫 廃墟 花入 対話 悲歌
[帯より] 繊細な感受性から紡ぎだされる言葉は時にしなやかで、時に奔放で、そしてなつかしい。知的なエスプリと無垢なロマンチシズムが混淆し、誰もが初めて出会う、言葉の輪舞が始まる。官能のエーテルが読者の神経を刺激して、言霊の熱量がたちのぼり、そこにはノスタルジックな未来の景色とイマジネーションにみちた過去の風景が優しく狂おしく浸蝕しあっている。(藤原龍一郎) 「栞」定型からの「離陸」(依田仁美)
キャサリン・モーリー 私の庭の 居住者 いちばん陽のあたる 穏やかな朝 あなたはそんなにプライドたかく 不機嫌に 眉間に深く皺などを刻み なんとも不可思議に 蒼ざめながら 内面から 突きあがる暴力的祭りの快感に ひたすら耐えて そしらぬふり こんな素敵な 十一月の黄金のただなか 憂鬱気質な 自転車ひたすらこいで 時間の認識のよそにまで 狂暴な熱情にかられ 逃亡をこころみた 若い雌 夢みがちな 黒豹の桃色 美しい内臓に微笑を贈り