『 バスに乗ったら遠まわり 』
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著者 マツザキヨシユキ
装画 原マスミ
装丁 片山裕
発行 2005年8月27日
定価  
本体1800円+税
ISBN 4-434-06259-X C0092 ¥1800E
判型 A5変型判 / 94頁 上製糸かがり
[収録詩篇]
どんぐりが落ちる家 青山 赤坂 5月 木もれ陽の夜に 交際 ためになる話 オカリナ さようなら 告白I バスに乗ったら遠まわり ビタミン 袋から取り出して ミラノ、ローマ、フィレンチェ 偉い人 おやすみー 請求権がある 70%当たる 金銀パールプレゼント 愛の粒々 祝辞(しゅくじ) ツリーの星にねがいごと 恋人の肖像権について カウントダウンパーティ アティトゥラン湖に向かい 還ってくる水たちは オンリー湾 松尾くん 空色の回数券 
【帯】
世界はバラバラに砕かれた だがかけらになっても世界は美しい 雪のひとひらのように (谷川俊太郎)
【栞】
トラヴェリン・バス (岡田幸文)


青山 
マツザキヨシユキ


きっと 涙だよ と 言われたような気がした

レイコのキャミソールのむこうからはみ出た

まんまるの月を眺めていたアタシは

泥色のリップをなめた

電柱にイルミネーションがともり

車が行き過ぎると

なつかしい部屋の香りがした

山手線の電車は回る

いつまでも回っていたわたしたち

遠心力でふらふらになっても

耳元からスプリングのきしむ音が聞こえてきても

決して降りてしまおうとはおもわなかった

山手線の電車は

それは遠くのことではないはずだ

でも青い山は

遠いから青いんだと

レイコはおしえてくれた