きっと 涙だよ と 言われたような気がした
レイコのキャミソールのむこうからはみ出た
まんまるの月を眺めていたアタシは
泥色のリップをなめた
電柱にイルミネーションがともり
車が行き過ぎると
なつかしい部屋の香りがした
山手線の電車は回る
いつまでも回っていたわたしたち
遠心力でふらふらになっても
耳元からスプリングのきしむ音が聞こえてきても
決して降りてしまおうとはおもわなかった
山手線の電車は
それは遠くのことではないはずだ
でも青い山は
遠いから青いんだと
レイコはおしえてくれた