誌の雑誌 midnightpress 3号
注文する

 

1999年春 3号(1999年3月5日発行)

【主な内容 】
●詩作品 平田俊子 足立和夫 川口晴美 平居謙 本間淳子 竹内敏喜  山本かずこ
●桜井亜美書き下ろし詩集
●インタビュー いまはみな無名の時代 鈴木志郎康
●エッセイ 那由多亭夜話 井上輝男
●イギリスの詩人たちと過ごした三泊四日―ウェセックス・ポエトリー・フェスティヴァル 福間健二
●連詩「異なる光芒の巻」 川崎洋 三井葉子 八木忠栄 新川和江
●連詩「手まり歌の巻」  川崎 洋 木坂 涼 八木幹夫 島田陽子
●連載 辻征夫/福間健二/瀬尾育生/ご隠居と八っつあんの現代詩談義
●詩の教室 高校生クラス 清水哲男/一般クラス 川崎洋
●詩の相談室 高取英

コラム 中村和恵根石吉久松岡祥男


■表紙・目次・本文イラスト/永畑風人
■写真 野口賢一郎



■『地名は地面へ帰れ』(藤井貞和詩集)や『土地よ、痛みを負え』(岡井隆歌集)といったタイトルを目にするとき、自分のなかにある欠損意識のようなものを覚えないわけにはいかない。生まれてまもなく以来、十代後半まで転々としてきたことによるのだろうか、土地に対する愛情を育てないまま今日まできてしまったのではないかと、ふと思うときがある。■わずかに懐かしく思われるのは昭和30年代の目黒だ。とくに記憶されるべき思い出があるわけでもないのだが、時間的な意味でも空間的な意味でも、昭和30年代の目黒というのは、ひとつのイメージとして浮かびやすい。■その頃、渋谷はバスで出かけていく都会だった。懐しい場所の数少ないひとつかもしれない。今号は、その渋谷で鈴木志郎康氏にインタヴューし、「渋谷系詩人」である桜井亜美さんの書き下ろし詩集を掲載することができた。■鈴木さんが語る今日までの詩の変容を聞いていると、それは、あるところで渋谷の街の変容とも重なり合うのではないかと思われる。そして桜井さんの詩を読み返すと「いま」というものが見えてくる。■ミッドナイト・プレスのホームページをオープンし たが(詳しくは88、89ページを参照ください)、そのタイトル・ページには「いつだって、Just now だけだった」というフレーズが載せられている。このフレーズはmidnight pressの姿勢を端的に言い表わしているのだと思う。浮遊する言葉、浮遊する世界の向こうに「いま」を見つけていく視線を手離したくない。今号の渋谷体験で、あらためてそう思った。■河島英昭氏の「二十世紀イタリアの詩人たち」は筆者の都合で休載させていただきました (岡田)