詩の雑誌 midnightpress21号 |
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2003年秋21号(2003年9月5日発売) 【主な内容 】 |
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「詩の雑誌midnightpress」21号をお届けします。今号から表紙を少し変えることにした。タイトル文字は谷川俊太郎氏に揮毫していただいたものである。永畑風人氏の版画も味わい深く、スターティング・オーヴァーとしたい。■某日、歌人の三枝昴之氏が、ある座談会(「詩と思想」8月号)で、「日本の詩人はオリジナル100%の作品を作ろう作ろうと思い過ぎたんだと思う」と発言しているのを目にして、思わずウームと考えさせられた。ひとつには、三枝昴之氏が、あるポイントを的確に衝いていたからであるが、同時に、日頃から直面している課題にあらためて向かい合わせられたからでもある。■「オリジナル100%」、あるいは「新しさ」への強迫は、現代詩の宿痾、というか宿命のようなものであり、その宿命とどう向かい合うか問われているのが、いまの詩人ではないだろうか。強迫を超越への欲望といいかえてみよう。すると、その困難さはよりはっきりと見えてくるが、同時に、意匠としての「オリジナル100%」や「新しさ」がもはや無効であることも明らかにされる。この世界(日常)を生きつつ、この世界を超えようとする心性(精神)は、その程度はどうあれ、消失することはないだろう。だが、そうであればこそ、生のもろさもまたある。試行錯誤の実践を通してしか、なにごともなしえない、前に進むことができないと実感されるばかりである。そして、たどりついた言葉こそが、真に新しく、かつ豊かなものとなるだろう。■前号に続いて、鶴見俊輔氏をゲストに迎えての「歌学の力 Part2」をお楽しみください。今号から、飯島耕一氏の小説が連載されることになった。井坂洋子氏の連載は著者の都合で休載。■前号で小詩集を組んだ田中エリスさんの詩集『かわいいホロコースト』、そして井上摩耶さんの『Look at me──たとえばな話』がまもなく刊行される。遅れていた辻征夫氏の『詩の話をしよう』もまた。(お)
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