詩の雑誌 midnightpress22号 |
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2003年冬22号(2003年12月5日発売) 【主な内容 】 ●北の詩人 金聖ミン(ソンミン)小詩集「夢の故郷」 |
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今号は巻頭に、″北の詩人″金聖ミン(キム ソンミン)氏の小誌集「夢の故郷」を掲載した。金聖ミン氏の詩が日本で紹介されるのははじめてのことである。翻訳していただいた金容権(キム ヨンゴン)氏に御礼申し上げます。■金聖ミン氏は、「父が果たし得なかった郷土詩人たらんとして、険しい詩人の途を、私は今日も歩んでいる」と書いているが、金氏の詩を読んでいると、その「険しい詩人の途」が見えてくる。同じく詩を書く者として、詩人へのシンパシィを覚えた。■そして、北島の言葉を思い出した。即ち、「詩人というものは元来、詩を書き始めた日から亡命の道を歩むものです。ある意味では、詩と亡命は同意義の概念であります」■エグザイルであるがゆえに、はげしく夢見られる「故郷」への思い──これは、国家を超えて、歴史を超えて、<起源>を尋ねる永遠の物語でもある。新しい世紀を迎えたわれわれ一人ひとりが、いま、あらためてその物語と向かい合っている──われわれは、どこから来て、どこへ行くのか──ことを、金聖ミン氏の詩は告知しているようだ。■また、今号では、「詩の必読書ベスト3」というアンケートを企画した。寄せられた回答は、詩を、歴史を、世界を大きく捉えなおす示唆に満ちたものだった。このほかにも、リース・モートン氏の話など、まさしく大いなる転換期を生きるわれわれの現在が浮かびあがってくる誌面となったように思う。20号を越えて、一号一号、号を重ねていくことの重みを実感するこの頃であるが、非力ながらも、小誌は、詩への絶望/希望を生きる、「険しい詩人の途」を歩んでいきたい。■長く連載されていた松本亮氏の「素顔の金子光晴」が今号で終わることになった。御愛読ありがとうございます。いずれ一冊の本にまとめられる予定だが、その前にスペシャル企画「金子光晴の足跡を訪ねる旅」を立ち上げた。詳しくは113ページをごらんください。なお、今号から、田中エリスさんの新連載が始まり、根石吉久氏のコラムがリニューアルされた。遅れている辻征夫氏の『詩の話をしよう』もまもなく刊行される。(お)
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